製薬業界と化学業界では社風が大きく異なります。
この記事では社風の違いと、何に起因するかを説明します。
1.製薬業界の社風
製薬会社の社風はかなりコンサバと思っています。
研究開発現場の社員から、上層部に至るまでコンプライアンス教育が行き渡っていて、上司からの厳しい指導はされない印象です。
直属の上司は昭和~平成初期の社会人時代を過ごしており、いくつか過激なエピソードを聞きました。例えば、客人が来たときのエレベーターの立ち位置。下座がボタンを押せる扉の手前の位置になります。上司が上座に当たる位置に立ってしまい、胸倉をつかまれて「何やってんだてめえ!」と恫喝されるなど、、汗
同様に、実験用の手袋をしたままエレベーターのボタンを押さないルールなどもあり、これも同じく激しい叱責を頂く案件だったようです。
こうした経験のある方でしたが、新卒入社した私に対しては非常に理知的かつ、にこやかに接してくれました。時折エンジンがかかると論理で詰め続ける方でしたが、そうした過激な管理をされることはありませんでした。他の方も至って穏やかで優しい方が多いです。
新卒就活、および転職活動で出会った上層の方もいずれも理知的、静かで賢い方が多かったです。しかし、腹の内を見せずに観察されている感覚はものすごく強かったですね。
2.化学業界の社風
化学業界は、まだまだ昭和的な価値観が残っていると考えています。
上層の方は成果を出すためにパワハラまがいのありがたい指導をしたり、言葉を選ばずにモノを言う印象が強いですね。
化学メーカーに転職した直後に配属された部署では、定年間際のおじさまが上司でした。初見での人当たりは悪くないですし、穏やかに見える方だったのですが、付き合いを続けていくと豹変しました。
定年退職も近く、再雇用もないとのことで、タイムリミットがある中での研究でした。責任感があったのでしょう。私が製薬時代と違う仕事をする中で、適応に苦しんでおり、時間制限との板挟みから徐々に本性が、、、。毎週の報告の度に厳しい言葉をかけられたのは覚えています。「(何が言いたいのか)わかんねー!」「議論の余地なし!」「めんどくせえー!」。これが社会人の言葉でしょうか。毎日ご指導を受ける中で会社に行きたくはなく、夜な夜な酒を浴びるように飲んで出社までの時間を長く過ごしていました(笑)。
新卒就活、転職活動時の面接でも、化学業界では鬼のような方が多い印象でした。若干、圧迫気味な面接の中でもはっきりと意思を示すことが求められている印象です。多少間違っていても若者なので許されますが、意思がないことは許容されません。
こうした昭和的な方が生き残っていて、心理的安全性の低い環境を作っているのは非常に特徴的と思います。
3.製薬業界の背景
化学業界と比較するとパワハラ気質が弱い理由として、製薬業界のおかれている環境が挙げられます。すなわち、医者に気に入られることが必要な
ブランド力が多少なりとも効いてくる事業スタイルです。医療用医薬品の販売は、いまだに医者に気に入られることが売れ行きを大きく左右します。大手企業であったり、古くから歴史のある企業であれば信頼性があります。逆に、不祥事があった会社からは製品を購入したくないですよね。
特に安全性の懸念は医薬品のみならず、その医薬品を使用した医師の信用にも影響します。よほど、その会社からでしか購入できない医薬品でなければ、安心信頼の大手企業から購入したいものです。
4.化学業界の背景
一方で、化学業界の事業スタイルは基本的にBtoBになります。顧客に直接化学品を売るというよりも、化学品を原料として使用したい他社に販売します。化学品を購入した企業は、反応や加工によって製品化した上で顧客に販売します(BtoC)。
製造工程の川上に寄るほど、BtoBの要素が強くなり、コンプライアンス意識は弱くなります。多少の不祥事があっても、イメージによって取引有無は左右されません。また、化学業界の製造は川上から川下まで、複数の企業間で連携して行われているために、その体制を崩して取引中止の判断をするのは不合理だったりします。
国内の各所に工業地域が存在しています。この工業地域では、川上の化学品メーカーが製造した化学品を、同じ工業地域に拠点を置く他社に販売しています。化学品を購入したメーカーは、その化学品を合成反応に用いてさらに川下へ販売する。そういったビジネスモデルの中で、遠方の会社とわざわざやり取りをするのは不合理です。川上であるほどに、その化学品の取引量、スケールは大きく、輸送にかかるコストが跳ね上がります。
上記の通り、ある種、化学業界は「閉じた系」であるということが特徴的と考えています。
まとめ
製薬業界は温和な社風であり、コンプライアンスを意識する必要があるそのビジネス環境が影響している。
化学業界は厳しい指導が未だに残っており、それはBtoBの事業スタイルに起因している。
以上になります。

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